■糖尿病の予後と死因
糖尿病患者の予後は、その治療、合併症により大きく左右され、合併症の出現は、糖尿病の重症度とも関係します。
しかし糖尿病は一生の病気であり、あらゆる病気が合併しうるために、 その予後には血管障害のみならずさまざまな要因が関係しています。
その血管障害による死因は、全死因の40から70%を占め、今尚増加する傾向にあります。
特に、血管障害に伴う合併症は死因につながるので、糖尿病の管理をよくすることにより予防することが大切です。
- 糖尿病自体の重症度
- 糖尿病の重症度は、しばしば、インスリンの需要により示される。
- 糖尿病発症年齢と病型
- 罹病期間がながくなるにつれ、腎症による死亡が増える。
- 性差
- 男に比べ、女性では腎症や網膜症の合併が多い。
女性では早期発見の機会が乏しいこと、食事療法が守れがたいこと、運動の機会が少ないことなどが関与している。
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- 血糖のコント−ロル
- 早期から長期間正しい治療を続けられた糖尿病患者は、血管障害の進展が阻止、または進展が遅いことが知られている。
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- 糖尿病患者の死因
- 死因で多いのは血管障害である。次いで、悪性腫瘍、糖尿病腎症、肝硬変、感染症など。
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- 死の四重奏
- 糖尿病、高血圧、肥満、高脂血症が重なると死亡率があがります。そのほか、喫煙、飲酒、
ストレス、なども要因になります。社会活動を続け、運動不足にならないなど生活上の注意も必要で、食事療法を併用した糖尿病治療が寿命の延長に寄与すると思われます。
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- 境界型の予後
- この人たちは、糖尿病と診断されなくても、環境の変化など何らかの状況で糖尿病を発症する素質を有すると考えられ、多くは生涯を通じて血糖を管理し、少なくとも食事療法については、節制を守らせる必要があります。
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- 寛解
- 明らかな糖尿病は、食事療法を守らなくてもよいほどになることはきわめて稀であります。
成人の場合には、食事療法を守り、5年以上も長期間自然寛解状態にあることもまれではありません。
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